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- スリランカハーピング特集「Herping in Sri Lanka」
ハーピングとは、両生類・爬虫類学を意味する「Herpetology」から派生してできた言葉で、両生類・爬虫類を観察することを意味します。日本ではまだなじみのない言葉ですが、自然の中をじっくり観察すると、かわいい生き物たちが沢山いることに気づかされます。
スリランカは、大陸が一続きになっていた早期のスーパーコンチネンタルの時代から大陸移動によって島として独立していたため、北海道の80%ほどの小さな国土でありながら、以前より生物の分化が進んでおり固有種・固有亜種の割合の多さが魅力です。また北部は平地、中南部は標高2,000m級の山岳地帯となるなど、起伏に富んだ地形なうえ、モンスーンの影響を受けるため多様な環境が存在しており、世界でも有数の生物多様性に富んだ国です。その中でも爬虫類・両生類は、独自の進化を遂げた固有の爬虫類約115種・両生類約112種が生息しており、まさに固有種の宝庫といえます。
スリランカはおおまかに標高の低い乾燥地帯、中央山地周辺の標高の高い湿潤な中間地帯、南部の標高の低い湿潤地帯、そして中央高原地帯と環境の異なる4つのエリアに分けることができます。この4つのそれぞれのエリアで、特徴のある爬虫類・両生類が生息しています。
種によって様々な時間帯で活動しているため、ハーピングの際は早朝、日中、深夜と、生き物の生態に合わせて最適の時間帯で観察を行います。スリランカの数あるハーピングスポットの中でも、爬虫類・両生類に出会えるチャンスの多いスポットをご紹介します。
スリランカ最大の国立公園があることでも有名なこの地域は、最近まで内戦の影響でなかなか訪れることができませんでした。しかしそのため、手付かずの自然が残されており、爬虫類・両生類も例外ではありません。スリランカの乾燥地域では、倒木の下などの湿度の高い場所に生き物が集まるため、探すのは容易ではありませんが、その分生き物を見つけたときの感動は忘れられない経験となるでしょう。
山々の連なりが拳の様に見えることから名づけられたナックルズマウンテン。標高1,400mほどの雨が非常に多い地域です。独特の気候から世界でもここでしか見られない生き物が生息し、“ナックル”と名前につく種も多いです。特にトカゲの仲間が有名で、ナックルズピグミートカゲ(knuckles pigmy lizard)、クレストレストカゲ(Pethiyagda’s crestless lizard)、ハバナトカゲ(leaf nose lizard)などの観察が期待できます。
標高は低く降水量が高く、非常に蒸し暑い気候帯のため、生き物の種数が多く、ハーピングに慣れていない人でも生き物を見つけやすい魅力的な地域です。有名なコブハナトカゲ(Hump nose lizard)やカンガルートカゲ(Kangaroo lizard)との遭遇率が高いのもこの地域です。滝やラフティングでのアクティビティも有名ですが、その陰に潜むイワガエル(rock frog)などを観察できる、自然と人間が共存している場所です。
スリランカの中央高地(標高1,800~2,300m)に位置する地域で、草原や森が広がります。この地域だけの固有種も存在する大切な生態系の残された場所です。セイロンサイズノトカゲ(Rhino horn lizard)、ホホグロトカゲ(Black cheeked lizard)、スリランカムシメガエル(Sri Lanka bug eyed frog)などの観察が期待できます。
以前はインド大陸にも分布するベンガルオオトカゲと同種でしたが、頭蓋骨の形の違いなどから固有亜種として独立しました。先が二股に分かれた長い舌で、あごの上側にある"ヤコブソン器官"に匂いの粒子を擦り付けることにより、かなり遠くや地中深くの獲物の匂いも嗅ぎ取ります。
背中の白い水玉模様がひときわ輝くヤモリ。シロアリの巣に集まる昆虫やクモなどを捕食することからこの名が付きました。顔の大きさに対してかなり大きく、まぶたのない目が夜行性のヤモリらしい特徴をしています。生息地はスリランカ・インドの乾燥・半乾燥地域です。
世界でもスリランカのキャンディ周辺にのみ生息するヤモリの仲間です。ヒルヤモリという名前から分かるように、昼行性のヤモリです。夜行性のヤモリ同様、目にはまぶたがありませんが、頭に対して目の大きさが小さいのが見て取れます。背中にはV字の模様が6~7列並んでいるのが特徴です。
図鑑にも載っていない激レア種。モンスーンの影響を受ける乾燥地に住むため、雨が降った時など以外は土の中深くで乾燥をしのぎます。また、体の体積に対して表面積をなるべく小さくするために、球に近い体形をしています。我々に見つかり体を膨らませて威嚇していました。
吻端部に、特徴的な葉のような突起を持ったアガマの仲間です。オスはより大きな突起を持ち、大きいほどモテるそう。スリランカの標高700m~1,700mの比較的降水量の多い地域に生息します。イモムシやアリを好んで食べ、時には同種のトカゲを食べることも確認されています。
こちらも図鑑にも乗っていないアガマの仲間。陸生の生き物の中で、青い色を持つ生き物はとても少ないことで有名ですが、このアガマの仲間も体に淡く青いバンド模様があります。ですが、この色は寝ている間のみ現れ、活動しているときは緑色でした。とても不思議な生き物です。
滑らかな鱗、短い尾、平たく梨のような形の頭が特徴のオオカミヘビの仲間。背中の花びらのような模様が見分けるポイントです。夜行性で、ヤモリやスキンクなどを捕食します。天敵などに出会うと、頭を体の下に入れ様子を伺います。生息地はスリランカ・南インドの乾燥地域です。
こちらは世界でも、スリランカの標高450m~1,200mのナックルズ周辺にのみ生息するカエルです。ごく限られている地域に生息していますが、生息地に訪れると密度はかなり高いようでオレンジ、グレー、ブラウンなど様々なモルフの個体を観察できました。膝から足先にかけての滑らかな皮膚が特徴的です。
先の尖った吻端部と横に長い瞳のお蔭で、他の多くのヘビとは異なり両目で正面が見えるため、獲物までの具体的な距離感などをつかむことのできる、比較的目の悪い生き物であるヘビの中では特殊な存在です。弱い毒を奥歯に持ちます。スレンダーでムチの様な体で茂みに擬態していると見つける事さえ困難です。
後ろ足の長さが前足の4倍ほどにもなる事から名づけられました。長い脚を生かしてぴょんぴょん跳ねながら移動する姿はまるでカンガルーです。オスの成熟した個体は、発達したデュラップ(咽喉垂皮)を持ち、メスを魅了し他のオスに縄張りを示すために使われます。地域によっては青い顔のモルフの個体も生息します。
ネコのような大きな目から名づけられた。弱い毒を持ちますが、彼らが好んで食べるヤモリやスキンクを捕食する際に自分が負けないようにするものであり、積極的に攻撃してくることはありません。細くクネクネした特徴的なボディに、一見アンバランスな大きな頭・目がチャーミングです。
背中の甲板に放射状の星形模様がある美しいリクガメで、南アジアに広がって生息しますがスリランカの個体は体が大きく黄色みが強いため、より美しいと言われています。ペット用の乱獲で現在はワシントン条約Ⅰ種に記載され、より一層観察の難しくなったことでも有名です。
標高30m~1,000mの湿度の高い地域に生息する、コブのように突き出た吻端部が特徴のトカゲ。殆どの時間をジャングルの中で比較的大きな木の幹にしがみつきながら生活しています。遺伝的に他のトカゲたちとは遠くかけ離れているため、近縁種などおらず独自の方法で進化を辿ってきた孤高のアイドル的存在です。
一見ヘビのような外見ですが、小さく短い3本指の足が4本・目を閉じるためのまぶた・ジャバラ模様のお腹ではないことからトカゲだと断言できますが、落ち葉の隙間を這うようにして生活しているため耳は皮膚に覆われ、外見では確認できません。ミミズやシロアリを捕食します。
世界でもスリランカの標高1,400m以上のホートンプレインズ周辺にのみ生息します。成熟したオスの頬は黒くなりますが、メスや子供は緑色です。標高が高く朝晩は冷え込む地域に生息しているため、日光浴をする際は、効率良く光を吸収するために全身を黒くすることもあります。
【5名様限定】シンハラジャの森で固有の爬虫類・両生類を観察。早朝、昼、夜とハーピングを満喫。ネイチャーガイドと専門ガイドの2名が同行し観察チャンスを高める。
企画・主催:西遊旅行
コブハナトカゲ(Hump-nosed lizard)、スリランカグリーンピットバイパー(Srilankan pit viper)、ハナナガムチヘビ(Long-nosed Whipsnake)、メガネコブラ(Spectacled Cobra)、カンガルートカゲ(Kangaroo lizard)、ヤブガエルの仲間(shrub frog)ほか
【5名様限定】固有種の宝庫スリランカでハーピング三昧。4つの異なる気候帯でコブハナトカゲ、セイロンサイズノトカゲなどの固有種を狙う。
企画・主催:西遊旅行
セイロンサイヅノトカゲ(Rhino-horned lizard)、コブハナトカゲ(Hump-nosed lizard)、カンガルートカゲ(Kangaroo lizard)、インドホシガメ(Star tortoise)、スリランカグリーンピットバイパー(Srilankan pit viper)、ハナナガムチヘビ(Long-nosed Whipsnake)、スリランカムシメガエル(Srilanka bug-eyed frog)ほか